re-discussion

先日書いた、藤村龍至氏の高円寺のBUILDING Kに関しての僕のレポートhttp://d.hatena.ne.jp/sandotakuto/20080524
とそれに対するコメントが面白いので再び取り上げてみます。ウェブ上で議論をしたいと思っていたので発展させてみたいですね。



ba-chiさんのコメント 2008/05/26 03:01
君らの三人のレポートをよましてもらいました。自分はいってもいないのでなんともいえませんが君達の言う高円寺的スケールっていうのは何なのかっていうことが気になるところでした。小さいものが集合して路地を作っていることを高円寺的スケールといっているのか、あるいはなにか別の意味みたいなものを感じ取っていっているのか。また立面も写真で見る限りでは街のスケールと連続しているというよりはマッスとしてのみえのほうがおおきいようにも思えます。本当に街のスケールと連続するといえるのか。つまり高円寺的スケールっていうことの意味が単純に小さいものの集合っていうことに還元しているのであればそれは危険なような気がします。実際に僕が行ってからまた議論をいたしましょう。

sandotakutoの返答 2008/05/26 03:50
コメントありがとうございます。僕が言いたかったのは“単純に小さいものの集合”ではありません。
もしかしたら高円寺的コンテクストと言った方がよかったかもしれません。
その場合、高円寺的コンテクストという言葉が意味するのはフィジカルなコンテクスト(顕在的なコンテクスト)とヴァーチャルなコンテクスト(潜在的なコンテクスト)の二つです。“単純に小さいものの集合”というのはフィジカルなコンテクストの方に含まれます。僕が言いたかったのはこのフィジカルな部分は勿論のこと、Kprojectの場合はヴァーチャルなコンテクストの上でも街に根付いているということです。ヴァーチャルなコンテクストというのは潜在的にその土地がそこに建つ建築に要請するプログラムや使われ方等、眼に映るカタチを超えた部分です。(そのヴァーチャルなコンテクストというのはその土地をリサーチをすると先鋭化してくるもので、Kprojectの場合は土地のリサーチと建築のスタディはパラレルです。)この二つのコンテクストで根付くというのは、単純にカタチの連続では無く、経験や振る舞いも含めての連続です。なので実際に訪れてみてください。別の次元ですが、最終的に屋上へ出るとそこで再び高円寺と縁を切ってはいるが風景として連続していて、不思議な位相が発生しているのも見物なので楽しいですよ。

ba-chiさんのコメント 2008/05/27 01:48
なるほど。「なにか別の意味みたいなものを感じて」と僕がいったのはsandoさんのいうヴァーチャルなコンテクストというものにつながる気がします。しかし「そこに建つ建築に要請するプログラム」というのがひっかかります。それは単純にいえばkprojectの場合は集合住宅と店舗ということでしょうか?それとも土地のリサーチからでてくるその場所に要請されるものとしての「プログラム」ということでしょうか?というのは僕が思う高円寺っぽさっていうのは単純にフィジカルな部分ではなくてその土地に染み付いた慣習的な要素みたいなものだと思っています。そういうものをすでに内在化したスケール、路地の作りかたを建築内部に取り込むことができているとすれば根付くという状態が実現するんじゃないかと思います。

Hiromiさんのコメント 2008/06/16 00:09
レポート拝見させて頂き、大変勉強になりました!また、お二人のコメントでのやりとり、興味深いお話でした。私はまだまだ建築のことを始めたばかりで、理解に不足するところもたくさんあるとは思いますが、建築の都市や景観への溶け込み方(馴染む)ことも様々な見方があるなと感じました。レポート最後に建築はまだまだ都市を変えていけるという言葉がありましたが。建築家が建築を用いて都市をかえていくのは何のためだとお考えでしょうか?よろしければご意見ください。福岡在住 学生4回生 Hiromi

sandotakutoの返答 2008/06/17 02:03
>ba-chiさん
コメントありがとうございます。僕が言うヴァーチャルなコンテクストというのは土地のリサーチからでてくるその場所に要請されるものとしての「プログラム」はもちろん、ba-chiさんが言うではなくてその土地に染み付いた慣習的な要素も含みます。もっと言えば、世界の中でどう位置づくかまで考える必要もあるかもしれません。わかりやすい現代的な建築の例として、ZAHA設計のCHANEL MOBILE ARTの世界を転々とするというコンセプト、プロモーションの仕方、素材、工法、展示形式等は、google earth levelの視点で都市を捉えるヴァーチャルなコンテクストと言えると思います。
>Hiromiさん
コメントありがとうございます。都市をかえていくのは何のためとありますが、それは素直に都市をよりよくすることだとおもいます。今都市に建っている(郊外でも)建築というのは大部分がよくもわるくも何か設計条件の前提のようなものを共有していて、すべて同じように自動的に設計されてしまっているのは街をあるけば一目瞭然です。そのようにして作られた建築はわかりやすく言えば“無難”ですが、その前提を上手に使えばもっとよくなると思います。ここでいう“よい”というのは、空間が楽しいとか、効率がいいとか、様々な次元に手がかりがあると思います。
建築家が建築を用いて都市を云々とありますが、それは都市は原則として建築で出来ているからです。でも僕の皮膚感覚からいうと、都市を歩いている時は建築に包まれていると同時に(それ以上に?)メディアランドスケープに覆われているので、僕に関していえば建築と同時にそういったものも考えていきたいという感じです。そういった意味でわかりやすい作品として上述のZAHA設計のCHANEL MOBILE ARTなんかは僕の最近の最大の注目でしたが、見ていろいろがっかりしましたが笑。あとは僕自身の作品で言えばhttp://d.hatena.ne.jp/sandotakuto/20080519のようなものがあって、こういう表現を手がかりに現代的な空間に繋げられないかと考えています。