about建築夜学校001

昨日、建築夜学校に参加してきましたg86の山道です。
テーマは直球の「タワーマンション」。
(来週は「ショッピングセンター」。僕の現在の論文のテーマと99%重なるので勝手に相当な緊張感を抱きつつ楽しみにしている笑)
出演は迫慶一郎氏、山梨知彦氏、北 典夫氏という激熱な建築家メンバーに加え、団地萌えで有名な大山 顕氏、コメンテーターに東浩紀氏、モデレーターに南後由和氏、藤村龍至氏という、各フィールドで僕が最も好きな人たち。
それぞれのプレゼンや議論のまとめは中島君のブログhttp://blog.livedoor.jp/koyonet/を見て頂くとして、ここでは個人的に考えていることをもとに主観的にざっと書いてみようと思います。
結局どの人も「大きな枠組みの中で、いかに自分の枠組みを作るか」という話をしていたように思えるから
タワーマンションに萌える萌えないとか“好み”のブレはあったけど最終的には会場にある種のうねりがあったように感じる。熱。

東さんが、「googleを前に個人が何をしても回収されてしまうわけだが、それでも僕は書き続ける。つまりgoogleをひっくり返そうとするのではなく、その環境を受け入れた上でどう自分を位置づけるかを考えることが大事」というようなことを言っていて
一方で
山梨さんも「大きなシステム(経済)に迎合し、何もやらないのではなく、(間違っていても)何かをやることでタワーマンションの可能性を作ることができれば、次はそれがシステムの中に根付く。大きなシステムを変質させることをする。」と続ける。
これは藤村さんが掲げる批判的工学主義のコンセプト(工学主義に反抗するのではなく、工学主義を一旦受け入れ、批判的に再解釈して乗り越える)とも大いに共振する。

思考や言語のレベルでは、建築家も思想家も創造者として同じ次元で議論して共振できるが、
建築はやはりどこか、建ってしまうと思考と結果が仕方なく切れてしまうことがあると思う。そこが面白いのだけれど。
その切れ具合がタワーマンションやショッピングセンターのスケールまでいってしまうともはや建築なんかじゃなくどこかへぶっとんでしまう。
ぶっとんでしまった現象の次元からもう一度最初に立っていた思考の次元へフィードバックしてこそ、タワーマンションやショッピングセンターが“建築”に進化出来るんじゃないかと思う。

これは地方都市の大型ショッピングセンターであるイオンモール成田を立体化させてgoogle earthにプロットしたものである。
現在こういった手法でショッピングセンターをリサーチしている。
このショッピングセンターは二核モール型という二つの核店舗でその間を蛇行するモールで繋ぐという超定番メソッドで設計されたものである。
つまり「大きな枠組みの中で、いかに自分の枠組みを作るか」という点で見ると、完全に大きなシステム(経済)に迎合していて、このショッピングセンターには新しい空間的な工夫は見当たらない。空間的な新しい工夫がまったくないのに、左のパースを見た時のスケールのぶっとび具合というのは想像の範疇を超えている。これはまさにレムコールハースの言うbignessだが、さてここから何に繋げようか考えると、そこで思考は停止してしまう。

それでも目を凝らしてgoogle earthで超俯瞰で眺めると(右画像)圧倒的デカさが湾曲して、街の角をしっかり押さえているような建ち方をしていて結果的に街を守っているように見える。

このある種の予期せぬ“現象”的建ち方というのが、ショッピングセンターの多様性なんじゃないか

という仮説のもと、リサーチを始めた。
経済的メソッドは同じで平面がほぼ同じなのに、現象は全く違う次元に行くこと。
これを設計の方へフィードバックしてこそ、次の建築へ接続できるのではないか。
ここでは経済的メソッドと現象的建ち方という二層構造だが、こういったプログラムに応じてメタとフィジカルの二層構造みたいな部分を巧く利用出来れば建築として街に根付くことが出来ると思う。

あとは、建築がもっと街の中で堂々とするために、何を押さえればいいのか、どこをドライブさせればいいのか、そのキメとナリの関係を、
タワーマンションやショッピングセンターという大袈裟なスケールを持ったものたちからこそ観察出来ると思う。

アウトプットの仕方は全く違うけど
googleの中でどう位置づくか、敷地の中でどう位置づくかという二層構造を僕らなりに考えたものとして
自由が丘で壁面デザインを作りました。http://d.hatena.ne.jp/g86/

壁いっぱいに植物をモチーフにQRコードをレイアウトしたもので、QRコードを読み込むと同世代を中心としたアーティストのページや作品等を閲覧出来るというもの。
これなんかは、建築設計ではないけれど、QRコードという言語をやたらとドライブさせることで
三井住友銀行の大きく立ち上がる白い壁がキャンバスとして街と仲良く且つ堂々と意味をかすかに変えてメタとフィジカルをつなぐフィルターみたいなものになることを期待している。
このフィルターを通して、遠くから自由が丘まで来てくれたり、街の人が遠くのアーティストの世界へ飛んで行ったり。

あとタイミングよく明日から建築会館で開催させるArchiTVにおいて建築家の丹下憲孝氏と「お金と、建築」というテーマでディスカッションをするのですが、そこにg86も参加するので
丹下氏には今、上に書いたことだとか、かつての建築的枠組みと現代における建築的枠組みの差異だとか、シンボリズムについてだとか、聞いてみたいと思います。そしてガッツリ来週の建築夜学校に繋げて行きたいと思います笑。